Voice 04
1本の丸太との出会いが、時代をつなぐ家をつくった。
Place:新潟県長岡市
Family:夫婦+長男+長女+猫のタミちゃん
ひとめ惚れした丸太を
1本だけ買った。
何世代もの時代(とき)を超えた、大きな大きな杉の丸太―その1本の木との出会いが、Mさんの家づくりのスタートだった。
「前の家には思い入れがあったので、建て替えたかったわけではないんですけどね…… 」ご主人が、当時の想いを語ってくれた。建て替える前の家はご主人が7歳の頃から住んでいた家で、両親や祖父母と過ごしたたくさんの思い出が詰まっていた。家そのものもお祖父様が木材を吟味して建てられたこの地域らしい和風建築で、簡単に取り壊すには惜しい風情を湛えていた。とはいえ、新潟を襲った4度の地震のためにあちこちが傷んでおり、中越地震の後には隙間風が身に染みるようになっているのも認めざるを得なかった。「建て替えましょうよ」という奥様の声に背中を押されて渋々出かけた先で出会ったのが、夢ハウスだった。そして、1本の丸太とめぐり会った。
それは、本社の工場見学に訪れたときだった。ストックヤードに保管されたたくさんの木材の中に、ひときわ大きく、年代を感じさせる杉の丸太が目に付いた。Mさんは家を建てようと思って見学に参加したわけではなかったが、その丸太を見た瞬間「これで和室をつくろう」と決めてしまった。「そのときにはまだ家を建てようとは決めていなかったので、おかしな話なんですけどね」Mさんは、そう言って笑う。ひとめ惚れした丸太をその場で購入したものの、その丸太が柱になるまでにはまだしばらく時間がかかった。
「前の家には思い入れがあったので、建て替えたかったわけではないんですけどね…… 」ご主人が、当時の想いを語ってくれた。建て替える前の家はご主人が7歳の頃から住んでいた家で、両親や祖父母と過ごしたたくさんの思い出が詰まっていた。家そのものもお祖父様が木材を吟味して建てられたこの地域らしい和風建築で、簡単に取り壊すには惜しい風情を湛えていた。とはいえ、新潟を襲った4度の地震のためにあちこちが傷んでおり、中越地震の後には隙間風が身に染みるようになっているのも認めざるを得なかった。「建て替えましょうよ」という奥様の声に背中を押されて渋々出かけた先で出会ったのが、夢ハウスだった。そして、1本の丸太とめぐり会った。
それは、本社の工場見学に訪れたときだった。ストックヤードに保管されたたくさんの木材の中に、ひときわ大きく、年代を感じさせる杉の丸太が目に付いた。Mさんは家を建てようと思って見学に参加したわけではなかったが、その丸太を見た瞬間「これで和室をつくろう」と決めてしまった。「そのときにはまだ家を建てようとは決めていなかったので、おかしな話なんですけどね」Mさんは、そう言って笑う。ひとめ惚れした丸太をその場で購入したものの、その丸太が柱になるまでにはまだしばらく時間がかかった。
木がいっぱいの家なんて
嫌だったけど。
1 本の丸太が家になる日を待っている。けれども、建て替えるという決断もまだできない。ご主人が悩ましい日々を過ごしている一方で、奥様は早く建て替えたくて仕方がなくなっていた。「夢ハウスのいろんなイベントに参加するうちに、私もそんな家に住みたいと思うようになってしまって。最初は木がいっぱいの家なんて嫌だと思ってたのに(笑)」
Mさんご夫妻は、最初に夢ハウスを訪れてから実際に家を建てるまでに3年ほどもかかっているのだが、その間に開催されたイベントや勉強会にほとんどすべて参加したという。イベントで木の家について知るごとに新しい住まいへの憧れも育まれていったが、それ以上に夢ハウスを中心にした人と人のつながりが奥様の心を打った。「夢ハウスのモデルハウスやイベントに行くと、すでに家を建てた人が来ていることがよくあるんです。その方たちがお互いにとても親しくしておられて、羨ましいほどでした」ただ家を建てるのではなく、家づくりをきっかけに仲間や暮らしが広がっていく。そんな光景を見るうちに、自分たちもその仲間に入りたいという気持ちが膨らんでいったのだった。
Mさんご夫妻は、最初に夢ハウスを訪れてから実際に家を建てるまでに3年ほどもかかっているのだが、その間に開催されたイベントや勉強会にほとんどすべて参加したという。イベントで木の家について知るごとに新しい住まいへの憧れも育まれていったが、それ以上に夢ハウスを中心にした人と人のつながりが奥様の心を打った。「夢ハウスのモデルハウスやイベントに行くと、すでに家を建てた人が来ていることがよくあるんです。その方たちがお互いにとても親しくしておられて、羨ましいほどでした」ただ家を建てるのではなく、家づくりをきっかけに仲間や暮らしが広がっていく。そんな光景を見るうちに、自分たちもその仲間に入りたいという気持ちが膨らんでいったのだった。


玄関は欅(けやき)の格天井(ごうてんじょう)、床板は無節の赤松材。
薪ストーブはご夫婦の愉しみのひとつ。
祖父の一世一代の
大仕事を受け継ぐ。
「早く建て替えたいなんてまったく思っていませんでしたが、今は、もっと早く建てればよかったと思っています」悩んだ末に建て替えを決めたご主人がそう語るには、訳がある。前の家のいいところを、新しい家の随所に取り入れたのだ。
まずは、お祖父様の想いを宿す古材だ。お祖父様によって選りすぐられた前の家の木材は、新しい家にも十分使える強度を持つものがたくさんあった。歳月を経て増した色つやも美しい。そうした古材を新しい家に活かそうと決めたのだ。和室の天井やリビングの梁などに、新しい木材と古材がバランスよく配された。ご主人が「ふと目を上げたときに前の家の木材が目に入ると、なんとも言えぬ懐かしい気持ちになりますね」と話す通り、子どもの頃からの思い出を大切に受け継いだ家になった。
基本的な間取りも前の家と同じだ。もちろん、細かく仕切られていた部屋をひとつにしたり、縁側を設けるなど、今の暮らしに合わせてアレンジを施した。けれども、リビングや和室のある場所など、基本的な間の置き方は変わっていないのだ。それは、前の家がこの地域の気候風土に相応しい間取りだったからだ。
「一般的には東南の角をリビングにするようですが、ここでは北東向きが一番いい。田んぼからの涼しい風が家の中を通り抜けていくんです」確かに、家の中を抜ける光と風が心地いい。「昔の人にとって、家づくりは一世一代の大仕事でしたからね」Mさんのお祖父様が精魂込めてつくった家は、現代の設計者も納得の“これしかない”という間取りだったのだ。
まずは、お祖父様の想いを宿す古材だ。お祖父様によって選りすぐられた前の家の木材は、新しい家にも十分使える強度を持つものがたくさんあった。歳月を経て増した色つやも美しい。そうした古材を新しい家に活かそうと決めたのだ。和室の天井やリビングの梁などに、新しい木材と古材がバランスよく配された。ご主人が「ふと目を上げたときに前の家の木材が目に入ると、なんとも言えぬ懐かしい気持ちになりますね」と話す通り、子どもの頃からの思い出を大切に受け継いだ家になった。
基本的な間取りも前の家と同じだ。もちろん、細かく仕切られていた部屋をひとつにしたり、縁側を設けるなど、今の暮らしに合わせてアレンジを施した。けれども、リビングや和室のある場所など、基本的な間の置き方は変わっていないのだ。それは、前の家がこの地域の気候風土に相応しい間取りだったからだ。
「一般的には東南の角をリビングにするようですが、ここでは北東向きが一番いい。田んぼからの涼しい風が家の中を通り抜けていくんです」確かに、家の中を抜ける光と風が心地いい。「昔の人にとって、家づくりは一世一代の大仕事でしたからね」Mさんのお祖父様が精魂込めてつくった家は、現代の設計者も納得の“これしかない”という間取りだったのだ。

折上格天井のある、格調高い本格和室。

自慢の庭を眺めながらの癒しのひととき。
左_折上格天井のある、格調高い本格和室。右_自慢の庭を眺めながらの癒しのひととき。


木は、ひとつひとつ
表情が違うからおもしろい。
イベントや勉強会に通う中ですっかり木の家の虜になったという奥様は、内装の木にこだわった。
「モデルハウスで見て、どうしても我が家にも使ってほしかったんです」というのは、タモ材だ。木目がくっきりと見えるところが気に入って、トイレと洗面所の床に使ってもらった。表面を釿(ちょうな)で凹凸に加工したことで、木目のおもしろい表情がいっそう引き出されている。
下駄箱やキッチンのカウンターには、奥様のたっての希望で“耳付き”の一枚板が用いられた。耳付きとは丸太の樹皮に近い部分をそのまま残した加工で、同じものは決してなく、その木だけの自然な風合いを楽しめるものだ。
「人工のものと違って、ひとつひとつ違うのが自然のおもしろいところだと思うんです」と、すっかり無垢の木の醍醐味に魅せられた奥様は言う。リビングの薪ストーブも、そんな自然を楽しみたいという気持ちから設置したものだ。「ゆらめく炎は1日見ていても飽きることがありません。ガスの火とは全く違います」M邸には、ゆっくりと家づくりを考える中で育まれた自然への関心がひとつひとつ描き出されている。
「モデルハウスで見て、どうしても我が家にも使ってほしかったんです」というのは、タモ材だ。木目がくっきりと見えるところが気に入って、トイレと洗面所の床に使ってもらった。表面を釿(ちょうな)で凹凸に加工したことで、木目のおもしろい表情がいっそう引き出されている。
下駄箱やキッチンのカウンターには、奥様のたっての希望で“耳付き”の一枚板が用いられた。耳付きとは丸太の樹皮に近い部分をそのまま残した加工で、同じものは決してなく、その木だけの自然な風合いを楽しめるものだ。
「人工のものと違って、ひとつひとつ違うのが自然のおもしろいところだと思うんです」と、すっかり無垢の木の醍醐味に魅せられた奥様は言う。リビングの薪ストーブも、そんな自然を楽しみたいという気持ちから設置したものだ。「ゆらめく炎は1日見ていても飽きることがありません。ガスの火とは全く違います」M邸には、ゆっくりと家づくりを考える中で育まれた自然への関心がひとつひとつ描き出されている。

